出張先の客室から Web 会議や商談を行う日数が、ここ数年で明確に増えた。連泊の途中で隣室の物音が議事を遮る、夜間の話し声でカメラオンの会議に集中できない——こうした遮音にまつわる悩みは、長期滞在対応のホテルを選ぶ実務的な基準として急浮上している。本稿では、客室の遮音性能(JIS A 1419 における D 値)の目安として「D-50 相当(隣室の通常会話がほとんど聞こえない水準)」を期待できる、東京・大阪のサービスアパートメント/長期滞在対応ホテル 5 軒を取り上げる。建築構造、客室規模、開業年、そして 1 ヶ月単位プランの相場まで、出張連泊で問われる条件で比較する。
| # | ホテル | エリア | Score | 客室 | 目安価格 | 構造・遮音の特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | オークウッドプレミア東京 | 千代田区丸の内 | 93 | 123 | ¥95k–¥128k | 鉃鋼ビル南館(SRC、2015 年竣工)の 6〜19 階を専有 |
| 2 | フレイザースイート赤坂東京 | 港区赤坂 | 93 | 224 | ¥51k–¥58k | 2020 年新築 SRC、60㎡ 1ベッドルームを中心とする層別設計 |
| 3 | アスコット丸の内東京 | 千代田区大手町 | 92 | 130 | ¥85k–¥119k | 大手町パークビル 22 階以上の高層階占有、二重サッシ |
| 4 | シタディーンなんば大阪 | 大阪市浪速区 | 91 | 313 | ¥24k–¥38k | 登録有形文化財(旧高島屋東別館)を改修、躯体厚壁 |
| 5 | lyf 渋谷東京 | 渋谷区宇田川町 | 88 | 200 | ¥31k–¥67k | 2024 年 12 月開業、共用空間に音を逃がす layered 設計 |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。D 値は施工時の遮音設計に基づく目安で、入居後の家具配置・在館状況で実効値は変動します。
客室遮音の実用基準と、長期滞在対応ホテルの構造的優位
遮音等級 D 値は隣室から漏れ伝わる音の量を表す指標で、JIS A 1419-1 に定義される。D-45 が「隣室の大きめの会話が小声に聞こえる」水準、D-50 が「隣室の通常会話がほとんど聞こえない」水準、D-55 で「隣室の音はほぼ無音」とされる。Web 会議や商談で客室から音声を発信する用途では、相手側の収音マイクへの雑音混入を避けるためにも、また自身の集中を保つためにも、最低 D-45、できれば D-50 級の界壁が望ましい。
通常のビジネスホテル(特に客室数 200 室超で 1 階の客室単価が ¥10,000 を切る価格帯)の界壁は乾式 LGS(軽量鉄骨下地)二重張りが標準で、実効 D 値は D-40〜45 にとどまる。これに対し、サービスアパートメント/長期滞在対応ホテルは、当初から月単位の滞在を前提に設計されているため、コンクリート躯体の戸境壁(厚さ 180〜200mm)や、複層 Low-E ガラスの密閉サッシ、フローリング下の遮音マットといった、分譲マンション同等の遮音グレードを採用するケースが多い。これが、本稿で扱う 5 軒に共通する構造的優位である。
もっとも、各物件が公式に「D-XX 等級」と数値を開示している例は限られる。本記事で 5 軒を取り上げた根拠は、(1)コンクリート躯体・戸境厚壁・密閉サッシなどの設計仕様が公開資料または建築実績に示されていること、(2)室数 100 以上の中〜大型物件であること、(3)出張で実用に耐える立地と Web 会議対応のデスクスペースを備えていることの 3 点である。1 ヶ月以上の滞在を視野に入れる出張者にとって、これらは選定の現実的な目安となる。
1. オークウッドプレミア東京 — 千代田区丸の内
東京駅八重洲北口に直結する鉃鋼ビル南館の高層階を専有。SRC 造の躯体厚と密閉サッシで、客室は商談用途に耐える静粛性を持つ。
Media Picks Score: 93 / 100 123 室、サービスアパートメント(フルキッチン標準)。
目安価格 ¥95,000–¥128,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
東京駅八重洲北口に直結する鉃鋼ビル南館の 6〜19 階を専有する。建物は 2015 年竣工の SRC 造で、戸境壁はコンクリート躯体、開口部は複層ガラスの密閉サッシ。サービスアパートメントの設計思想として、月単位の居住に耐える遮音・断熱仕様が初期から組み込まれている。出張連泊で Web 会議が日常化する利用者にとって、立地(駅徒歩 2 分)と躯体の組み合わせは合理的だ。客室はスタジオ(33〜43㎡)から 3 ベッドルームまで 8 タイプ、すべてにフルキッチンと洗濯乾燥機を備える。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、評価が特に高いのは「立地」「客室の広さ」「キッチン・洗濯機の実用性」で、長期滞在の生活機能に関する満足度が安定している。一方で、価格水準は東京都心のサービスアパートとして上位帯にあり、短期 1〜2 泊の出張者からは割高との指摘もある。1 ヶ月以上の連泊で月額プランを適用した場合の単価競争力が、選定理由として強く挙がる傾向にある。
向く人 / 向かない人
-
向く:
東京駅起点で複数都市を移動する出張者、月単位の出向で東京拠点を確保する人、客室で頻繁に Web 会議を行うコンサルタント・士業 -
向かない:
1〜2 泊の短期出張(価格性能比で割高)、深夜まで賑わう繁華街エリアの利便性を求める人
具体情報
- 最寄り駅: JR 東京駅 八重洲北口から徒歩 2 分
- 客室サイズ: 33〜120 ㎡(スタジオ〜3 ベッドルーム)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 客室設備: フルキッチン、洗濯乾燥機、食洗機、IH コンロ標準
- 建物: 鉃鋼ビル南館(2015 年竣工、SRC 造)、6〜19 階を専有
- 運営開始: 2016 年 2 月
2. フレイザースイート赤坂東京 — 港区赤坂
2020 年新築 SRC、客室は 35〜60 ㎡の広さを軸に層別設計。赤坂・大手町商談動線で連泊する出張者向け。
Media Picks Score: 93 / 100 224 室、サービスアパートメント(キッチネット標準)。
目安価格 ¥51,000–¥58,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
赤坂駅徒歩 3 分、赤坂見附駅徒歩 6 分、青山一丁目駅徒歩 8 分の 3 駅利用が可能。建物は 2020 年竣工の SRC 造で、設計はカジマデザイン、内装は Hirsch Bedner Associates。客室はスタジオ 35 ㎡ から 1 ベッドルーム 60 ㎡を中心に構成され、Tokyo 都心の同規模サービスアパートとしては平均広めの作り。戸境はコンクリート躯体厚壁、サッシは複層 Low-E ガラス。立地は赤坂・六本木・大手町への移動が 30 分以内に収まるため、東京都内で複数の商談動線を抱える出張者の拠点として扱いやすい。
集約レビューの傾向
公開レビューデータからは、「客室の広さ」「ベッドの寝心地」「フロント対応」への評価が高く、特に長期滞在者からの再訪率が高い傾向が読める。一方、利用者数が同エリアの中規模ホテルに比べてまだ少ない(2020 年開業)ため、サンプル数の少なさは念頭に置く必要がある。価格は丸の内エリアのフルキッチン型サービスアパート(オークウッドプレミア、アスコット丸の内)と比べて 1 ランク下に位置し、コストと広さのバランスを取りやすい。
向く人 / 向かない人
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向く:
赤坂・六本木・大手町を巡回する商談連泊、35 ㎡以上の客室で在宅勤務並みの作業環境を求める出張者、半年〜1 年の中期出向 -
向かない:
フルキッチンで自炊する必要のある長期滞在(キッチネットは IH 1 口・電子レンジ中心)、最安値志向の短期 1〜2 泊
具体情報
- 最寄り駅: 東京メトロ赤坂駅から徒歩 3 分(赤坂見附駅 6 分、青山一丁目駅 8 分)
- 客室サイズ: 35〜60 ㎡(スタジオ・1 ベッドルーム中心)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜12:00
- 客室設備: キッチネット(IH・電子レンジ・冷蔵庫)、洗濯乾燥機、バスタブ標準
- 建物: 2020 年竣工、SRC 造、地下 1 階・地上 14 階建
- 共用施設: 24 時間ジム、ゴルフシミュレーター、会議室、レストラン
3. アスコット丸の内東京 — 千代田区大手町
大手町駅直結、大手町パークビル 22 階以上を占有。高層階かつ二重サッシ構造で、客室の静粛性は都心トップクラス。
Media Picks Score: 92 / 100 130 室、サービスアパートメント(フルキッチン仕様あり)。
目安価格 ¥85,000–¥119,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
大手町駅 C8 出口直結、東京駅丸の内側へ徒歩 10 分。大手町パークビル(2017 年竣工)の 22 階以上を占有するため、構造上、地上交通の騒音影響を受けにくい。客室はフルキッチン付きのレジデンス型と、軽量キッチンのワンベッドルームの 2 系統。畳スペースを設けた客室タイプもあり、海外駐在員家族の中長期滞在で需要が安定する。設計は大手町再開発の中核で、躯体は SRC 造、外周のカーテンウォールには複層 Low-E ガラスを採用。
集約レビューの傾向
公開レビューデータの集約からは、「立地(大手町直結)」「眺望」「客室の静粛性」が顕著に評価される。商談前後の同行者・取引先とのアクセスを優先する出張者層の支持が厚い。一方で、価格は東京都内のサービスアパートの最上位帯にあり、4 週間以上の連泊で月額プラン交渉の余地を作らない限り、短期出張者の予算には合いにくい。エクササイズプール・ジムなどの共用施設は、利用頻度の高い利用者から評価されている。
向く人 / 向かない人
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向く:
大手町・丸の内オフィスへの徒歩通勤を要する駐在員、外資系企業の家族帯同出向、Web 会議の頻度が高い役員クラスの連泊 -
向かない:
価格優先の短期出張、ジム・プール等の共用施設を利用しないシングル滞在
具体情報
- 最寄り駅: 東京メトロ大手町駅 C8 出口直結(東京駅丸の内側 徒歩 10 分)
- 客室サイズ: 36〜130 ㎡(スタジオ〜2 ベッドルーム、畳タイプあり)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 客室設備: フルキッチンまたはキッチネット、洗濯乾燥機、King サイズベッド標準
- 建物: 大手町パークビル(2017 年竣工、SRC 造)、22 階以上を占有
- 共用施設: 24 時間ジム、屋内エクササイズプール、会議室、屋上テラス
4. シタディーンなんば大阪 — 大阪市浪速区
登録有形文化財の旧高島屋東別館を改修。重厚な躯体を活かした 313 室のサービスアパートメント。
Media Picks Score: 91 / 100 313 室、サービスアパートメント(キッチネット標準)。
目安価格 ¥24,000–¥38,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
地下鉄なんば駅・日本橋駅徒歩 5 分、関西国際空港から鉄道 50 分。建物は 1923 年に高島屋東別館として建てられ、2009 年に国の登録有形文化財に登録された SRC 造の重厚な躯体を持つ。2020 年に Citadines として改装オープンし、文化財として外観を保存しつつ、内装を現代的なサービスアパートメント仕様に刷新した。戸境壁は当初の RC 厚壁を活かしつつ、新規設置の界壁には乾式遮音仕様を追加。客室の天井高は通常のビジネスホテルより高く、響き方の質も異なる。313 室の規模は大阪エリアのサービスアパートでは最大級。
集約レビューの傾向
公開レビューデータでは、「立地」「建物の歴史性」「客室の清潔感」への評価が高く、特に長期滞在者からの「価格対満足度」のバランス評価が安定している。一方で、文化財の制約上、客室内のレイアウトに個体差があり、Web 会議に適した光環境や机配置が必ずしも標準化されていない。事前の客室タイプ確認は推奨される。難波という立地特性上、夜間の繁華街騒音が高層階以外で気になるという指摘が一定数あり、商談・会議用途では中高層階の指定が現実的だ。
向く人 / 向かない人
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向く:
大阪商談での月単位連泊、関空・神戸方面へ移動の起点とする出張者、歴史建築への関心が高い駐在員 -
向かない:
静寂を最優先する場合の低層階(繁華街騒音)、客室レイアウトの均質性を重視する利用者
具体情報
- 最寄り駅: 地下鉄なんば駅 徒歩 5 分(日本橋駅 5 分、関空 鉄道 50 分)
- 客室サイズ: 24〜70 ㎡(スタジオ〜2 ベッドルーム)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 客室設備: キッチネット(IH・冷蔵庫・電子レンジ)、洗濯乾燥機、ワークデスク
- 建物: 旧高島屋東別館(1923 年築、登録有形文化財、SRC 造)、2020 年改装開業
- 共用施設: 24 時間フィットネス、レジデンツラウンジ、キッズプレイルーム
5. lyf 渋谷東京 — 渋谷区宇田川町
2024 年 12 月開業、渋谷 PARCO 正面の社交型滞在ホテル。共用空間に音を逃がす層別設計を採る。
Media Picks Score: 88 / 100 200 室、社交型サービスアパートメント(共用キッチン中心)。
目安価格 ¥31,000–¥67,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
2024 年 12 月 19 日開業の Ascott グループ「lyf」ブランド 3 軒目(日本では福岡天神・銀座に次ぐ)。渋谷 PARCO 正面、渋谷駅から徒歩 7 分。客室は 5 タイプの層別構成で、最小タイプ(共用キッチン利用前提のシングル)から、ファミリー対応の 4 名室まで備える。建物は新築 RC 造、戸境はコンクリート躯体。lyf は「社交的な滞在」を打ち出すため、共用ラウンジ(CONNECT)、共用キッチン(BOND)、共用ランドリー(WASH & HANG)に音と人の活動を集約する設計で、客室自体は寝る・作業する機能を中心に絞っている。Web 会議は客室内デスクで実施可能だが、本格的な商談には共用 COLLAB ワークスペースの個室予約が現実的。
集約レビューの傾向
公開レビューデータの集約からは、「立地」「デザイン性」「共用空間の充実」が高く評価される。一方、開業から日が浅く、レビュー絶対数はまだ少ない。長期滞在者の声は「自炊は共用キッチン前提でやや不便」「客室はコンパクトだが防音は十分」と、用途への向き不向きが分かれる。30 代以下のテック系・クリエイティブ系の中期滞在者層に親和性が高い。
向く人 / 向かない人
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向く:
渋谷・原宿エリアのテック企業出張、デジタルノマド型の 2〜4 週間滞在、社交を含めた連泊を志向する出張者 -
向かない:
静かに 1 人で自炊する月単位滞在、役員クラスの高単価フルキッチン需要、ファミリー帯同の長期出向
具体情報
- 最寄り駅: JR 渋谷駅から徒歩 7 分(地下鉄渋谷駅 徒歩 5 分)
- 客室サイズ: 13〜35 ㎡(スタジオ中心、5 タイプ)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 客室設備: ワークデスク、冷蔵庫、ベッド下収納、共用キッチン利用前提
- 共用施設: CONNECT(ラウンジ)、BOND(キッチン)、BURN(24h ジム)、COLLAB(ワークスペース)
- 開業: 2024 年 12 月 19 日
遮音性能を確認するための実務的な 3 つの問い
本稿で取り上げた 5 軒に共通する設計上の優位とは別に、出張連泊を予約する際に確認すべき項目を整理する。
1. 戸境壁の構造(コンクリート躯体か乾式間仕切りか) — サービスアパートメント/長期滞在対応ホテルは、戸境壁にコンクリート躯体(RC または SRC)を採用するケースが多い。これに対し、改装系の中規模ビジネスホテルでは、戸境壁が乾式 LGS(軽量鉄骨下地)二重張りである場合があり、実効 D 値は最大でも D-45 にとどまる。予約前に直接問い合わせるか、建築データベース(国土交通省「建築物データベース」等)で竣工時の構造種別を確認するのが堅実だ。
2. 開口部のサッシ仕様 — 道路面・線路面に開口する客室は、サッシの遮音性能が実効遮音性能を支配する。複層 Low-E ガラスの密閉サッシ(外部音遮音 T-2 以上)か、二重サッシ構造が望ましい。本稿のオークウッドプレミア東京とアスコット丸の内東京は、共に高層階に客室を構えるため地上交通音の影響は受けにくい。フレイザースイート赤坂東京・シタディーンなんば大阪・lyf 渋谷東京は中層階を含むため、繁華街側を避けた階層・方位指定の予約が現実的だ。
3. 1 ヶ月単位プランの月額構造 — 公式公開価格は 1〜2 泊単価のみで、月単位プランは個別問い合わせとなる物件が大半。30 日プランで公開単価の 50〜70% に収まることが多いが、繁忙期(4 月・10 月の出向期、海外イベント期)には交渉余地が縮む。連泊が確定した段階で早期に問い合わせ、書面で月額を確定させるのが、出張経理の精算プロセスとも整合する。
よくある質問
Q. D-50 等級は具体的にどの程度の遮音性能ですか?
A. JIS A 1419 における D-50 は、隣室で交わされる通常会話の母音がほとんど判別できない水準を指す。Web 会議で相手側のマイクに隣室音声が混入することは実用上ない。なお、D-45 と D-50 の差は 5dB だが、人間の聴感では 2 倍程度の差として認識される。連泊で集中作業を要する場合の判断分かれ目の数値といえる。
Q. 1 ヶ月単位プランは公式公開価格より安くなるか?
A. 多くのサービスアパートメントで、30 日プランは 1 泊単価の 50〜70% の水準に収まる傾向にある。ただし、公開料金として明示されないケースが多く、滞在開始日・客室タイプ・空室状況によって個別交渉となる。書面(メールまたは見積書)での確定を推奨する。
Q. 客室から Web 会議を実施する場合の通信品質は?
A. 本稿で取り上げた 5 軒はいずれも客室内 Wi-Fi の実効速度 100Mbps 以上を公表する。有線 LAN ポートを備える物件(オークウッドプレミア東京・アスコット丸の内東京・フレイザースイート赤坂東京)では、有線接続による安定通信が可能。lyf 渋谷東京は無線中心の設計だが、COLLAB ワークスペースの会議室では有線対応のドックが用意される。
Q. 法人契約・領収書発行の対応は?
A. 5 軒すべて法人契約の問い合わせ窓口を設置している。月額プラン適用の法人契約では、月締めの請求書払いに切り替わるケースが多く、出張経理の月次精算プロセスと整合させやすい。インボイス制度対応の適格請求書発行は、いずれも対応済み。
Q. 名古屋エリアに同水準のサービスアパートメントはあるか?
A. 名古屋市内には Ascott グループや Frasers グループのフラッグシップ物件は現時点で展開されていない(2026 年 6 月時点)。同等の長期滞在対応で D-50 級の遮音を期待する場合、市内の分譲マンション転用型サービスアパート(30〜80 室規模)が候補となる。本稿の対象(100 室以上)からは外れるため、別記事で取り上げる予定だ。
本記事の参考情報
・日本産業標準調査会(JISC) — JIS A 1419 遮音等級の規格
・国土交通省 — 建築物データベース・構造種別
・文化庁 登録有形文化財制度 — 旧高島屋東別館の登録情報
編集部から
出張連泊で客室から Web 会議を行うことが常態化した現在、ホテル選定の評価軸は「価格」「立地」だけでは説明しきれない。客室遮音は、利用者の業務品質に直結する設計要素として、これからの長期滞在対応ホテルの差別化指標になっていく。本稿で取り上げた 5 軒は、いずれもサービスアパートメントとしての設計思想の上に立つもので、出張経理の月次プロセスとも整合する月額交渉の余地が残されている。次稿では、名古屋・札幌・福岡の長期滞在対応ホテル動向を取り上げる予定だ。