2025-2026年、地方政令市で既存中規模ホテルの運営委託切替が相次いでいる。札幌・仙台・新潟・広島・熊本という8つの地方拠点都市で確認できる主要事例を5軒に絞り、運営会社の入れ替わり、リブランド時期、客室規模、価格帯を整理した。国内チェーン同士の再編が主軸で、外資ブランドによる全面的な転換は今回の対象外である。
| # | ホテル | エリア | Score | 客室 | 目安価格 | 運営の動き |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ザ・ゲートホテル札幌 by HULIC | 札幌・北3条西 | 93 | 172 | ¥41–¥80k | HULIC のホテル運営事業が札幌へ初進出 (2025年12月) |
| 2 | ホテル京阪 仙台 | 仙台・中央 | 93 | 201 | ¥18–¥28k | 京阪ホテルズ&リゾーツが2020年に運営、東北初拠点 |
| 3 | 東急ステイ メルキュール 広島 | 広島・八丁堀 | 79 | 182 | ¥17–¥33k | 東急ステイ × Accor ダブルブランド (2026年5月開業) |
| 4 | ジュラクステイ新潟 | 新潟・花園 | 90 | 160 | ¥11–¥16k | 聚楽グループへの運営移管 (2015年リブランド継続) |
| 5 | KOKO HOTEL Premier 熊本 | 熊本・桜町 | 88 | 205 | ¥18–¥27k | カラカミ観光「KOKO HOTELS」が政令市に拡張 |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。
1. ザ・ゲートホテル札幌 by HULIC — 札幌・中央区
2025年12月20日開業。HULIC のホテル運営事業が東京・京都に続く3拠点目として札幌へ初進出した。
Media Picks Score: 93 / 100 172室、20階建ての都市型ホテル。
目安価格 ¥41,000–¥80,000 / 泊 (2名1室・通常期)

運営の動き
HULIC は東京・新橋および京都での「ザ・ゲートホテル」運営に続き、3拠点目として札幌駅徒歩4分の高層ビルに172室のホテルを開業した。再開発複合ビル「ヒューリックスクエア札幌」内のホテルフロア (10-20階) を運営する形を取り、HULIC が不動産開発と運営の両側面を統合する事業モデルが地方政令市に持ち込まれた格好となる。20階のプレミアムラウンジが宿泊者特典として組み込まれている。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計したところ、開業直後にもかかわらず4.6台と高水準の評点が集まっている。客室の質感、地下歩行空間との接続性、ラウンジ運用への評価が中心で、対して新規開業ゆえの細部運営の慣熟度に関する指摘もわずかに見られる。サンプル数はまだ少なく、安定した評価収束は2026年後半以降となる見込みである。
向く人 / 向かない人
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向く:
法人接待・出張上位レンジ、札幌駅直近で静かさを求める個人旅、北海道広域への移動拠点を都心に置きたい長期出張 -
向かない:
コスト最優先の出張 (¥41,000-が下限)、すすきの徒歩圏を希望する飲食目的の旅程
具体情報
- 最寄り駅: JR札幌駅から徒歩4分、地下歩行空間直結
- 客室数: 172室 (10-20階)
- 運営: HULIC (ヒューリック株式会社)
- 開業: 2025年12月20日
- 特記: 20階プレミアムラウンジ、大浴場、オールデイダイニング
2. ホテル京阪 仙台 — 仙台・青葉区
JRあおば通駅徒歩2分、201室。京阪ホテルズ&リゾーツが2020年に取得運営した東北初拠点で、関西系チェーンの東北進出を象徴する物件である。
Media Picks Score: 93 / 100 201室、駅近ビジネスホテル。
目安価格 ¥18,000–¥28,000 / 泊 (2名1室・通常期)

運営の動き
京阪ホテルズ&リゾーツは京阪電気鉄道グループのホテル運営会社で、関西を中心とした13拠点を展開している。仙台は東北初進出となり、2020年8月開業以降、駅前ビジネス需要を中心に運営を継続している。同社は地方政令市での運営拡張に積極的で、関西系チェーンが東北・北海道で運営シェアを獲得する動きの先行事例となっている。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、評点4.38、サンプル5,569件と評価収束が進んでいる。仙台駅西口および青葉通周辺への徒歩アクセス、客室の防音性、関西系チェーン特有の接客運用への評価が中心。改修からの経年と料金帯のバランス指摘が散見される程度で、出張需要には安定した選択肢として定着している。
向く人 / 向かない人
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向く:
東北出張で仙台駅徒歩圏を希望する法人、201室規模の安定運営を選ぶリピート出張、関西系の運営トーンに慣れた利用者 -
向かない:
最新ブランドの新規開業を選ぶ層、客室面積を最優先する長期滞在
具体情報
- 最寄り駅: JRあおば通駅2番出口 徒歩2分、仙台駅西口 徒歩8分
- 客室数: 201室
- 運営: 京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社
- 開業: 2020年8月
- チェックイン/アウト: 15:00 / 11:00
3. 東急ステイ メルキュール 広島 — 広島・中区
2026年5月18日開業。東急ステイ × Accor「Mercure」のダブルブランド、国内3例目で広島初進出。国内チェーンと外資ブランドの組み合わせ事例として注目される。
Media Picks Score: 79 / 100 182室、滞在型・ダブルブランド。
目安価格 ¥17,000–¥33,000 / 泊 (2名1室・通常期)

運営の動き
運営は東急リゾーツ&ステイ株式会社。同社の滞在型ブランド「東急ステイ」と、Accor の「Mercure」を組み合わせた国内3拠点目のダブルブランドホテルで、広島市中心部・八丁堀電停徒歩2分の好立地に開業した。国内チェーンが自社単独運営からグローバルブランドとの提携運営へ軸足を移す代表事例で、外資が日本市場に直接参入するのではなく、国内オペレーターが提携の形で外資ブランドを取り込む構造になっている。全182室に洗濯乾燥機・電子レンジを備え、長期滞在対応を継承している。
集約レビューの傾向
2026年5月18日開業の新規物件で、公開レビューはまだ集計段階にない。同社が運営する他の東急ステイ拠点の集約傾向から、長期滞在用設備への評価が中核を占めることが想定される。広島市中心部の同価格帯では182室規模の滞在型ホテルは限られており、出張長期化・WBC関連の海外利用層の流入が早期評価形成の鍵となる。
向く人 / 向かない人
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向く:
広島での長期滞在 (1週間以上)、洗濯乾燥機を求める出張、Accor Live Limitless 会員、シェアラウンジを業務利用したい個人 -
向かない:
開業直後のオペレーション熟度を懸念する利用者、JR広島駅徒歩圏を最優先する旅程
具体情報
- 最寄り駅: 広島電鉄 八丁堀電停 徒歩2分
- 客室数: 182室、全室に洗濯乾燥機・電子レンジ
- 運営: 東急リゾーツ&ステイ株式会社
- 開業: 2026年5月18日
- 特記: SHARE LOUNGE 併設 (CCC 運営)
4. ジュラクステイ新潟 — 新潟・中央区
JR新潟駅徒歩5分、160室。聚楽 (じゅらく) グループへの運営移管によりリブランドオープンした既存施設で、国内チェーンによる地方都市での運営シェア獲得の典型例である。
Media Picks Score: 90 / 100 160室、駅近ビジネス・宿泊特化型。
目安価格 ¥11,000–¥16,000 / 泊 (2名1室・通常期)

運営の動き
聚楽グループ (ホテル聚楽) は伊東温泉発祥の国内チェーンで、リゾート型旅館に加え都市型「ジュラクステイ」ブランドを展開している。本物件は既存ホテルを聚楽グループ運営でリブランドオープンしたもので、地方都市の中規模物件を国内チェーンが取得・運営する事例として継続的に評価されている。シングル客室で16㎡以上の面積を確保し、米産地ならではの朝食メニュー (岩船こしひかり・新潟のっぺ等) を運用上の差別化軸に据えている。
集約レビューの傾向
公開レビューデータの集計では、評点4.16、サンプル13,413件と圧倒的なボリュームで安定収束している。朝食評価が最も突出し、客室の広さ、駅近接、清掃の安定への支持が中心。経年に伴う設備の細部指摘もあるが、価格帯 (¥11,000-¥16,000) を考慮すると総合評価は政令市同価格帯の中で上位に入る。
向く人 / 向かない人
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向く:
新潟駅徒歩圏でコストを抑えたい出張、朝食を重視する利用者、シングル広めを求める個人 -
向かない:
最新リノベ物件を求める旅程、レストラン併設のフルサービス型を希望する法人接待
具体情報
- 最寄り駅: JR新潟駅 万代口 徒歩5分
- 客室数: 160室、シングル16㎡-
- 運営: 株式会社聚楽 (じゅらくグループ)
- リブランド: 2015年7月
- 特記: 米産地朝食 (岩船こしひかり・栃尾油揚げ・新潟のっぺ)
5. KOKO HOTEL Premier 熊本 — 熊本・中央区
サクラマチクマモト直結、205室。カラカミ観光が運営する「KOKO HOTELS」ブランドの最上位 Premier クラスで、地方政令市への運営拡張の代表事例である。
Media Picks Score: 88 / 100
目安価格 ¥18,000–¥27,000 / 泊 (2名1室・通常期)

運営の動き
カラカミ観光は北海道・登別を発祥とする旅館事業者だが、近年は都市型「KOKO HOTELS」ブランドを国内主要都市で拡張している。熊本物件は2022年6月開業の Premier クラスで、サクラマチクマモト (バスターミナル併設複合施設) 直結という政令市再開発と一体化した立地を取った点が特徴である。北海道発の事業者が九州の政令市まで運営範囲を伸ばす展開は、地方発チェーンによる全国展開の一例として観察される。
集約レビューの傾向
公開レビューデータの集計では、評点3.95、サンプル1,328件で評価収束が進みつつある。サクラマチクマモト直結の動線、14階のフロント・レストランからの熊本城ビュー、女性向けアメニティ運用への評価が中心。バス・繁華街利用を主目的とする利用者層からの満足度が高く、対して観光二次交通の制約を指摘する声も見られる。
向く人 / 向かない人
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向く:
熊本観光・出張で桜町バスターミナル発着便を多用する旅程、複合施設併設を求める滞在、阿蘇方面への日帰り起点 -
向かない:
JR熊本駅徒歩圏を必須とする利用者、新市街/上通の繁華街徒歩圏を重視する飲食目的の旅程
具体情報
- 最寄り駅: 市電「辛島町」徒歩約2分、JR熊本駅から市電5分
- 客室数: 205室 (Premier クラス)
- 運営: カラカミ観光株式会社 (KOKO HOTELS)
- 開業: 2022年6月16日
- 特記: サクラマチクマモト直結、14階フロント・熊本城ビュー
地方政令市での再編パターン
今回取り上げた5事例から3つのパターンが見える。第一は HULIC・京阪のような不動産系・鉄道系が運営事業を地方政令市に拡張する流れ。第二は東急リゾーツ&ステイ × Accor のように国内オペレーターが外資ブランドと組むダブルブランド方式。第三はカラカミ観光・聚楽のような地方発・温泉ベースの事業者が都市型ブランドを別系統で持ち全国展開する形である。いずれも単独物件の取得ではなく、ブランドプラットフォームを政令市単位で配置する戦略が共通する。
客室数と価格帯の分布
5物件の客室数は160-205室で、いずれも政令市の駅前ビジネス需要を吸収できる規模に集中している。目安価格は¥11,000-¥80,000と振れ幅が大きく、HULIC札幌の高価格帯がブランドプレミアムを反映する一方、聚楽新潟・京阪仙台・KOKO熊本は¥11,000-¥28,000の出張中心レンジに収まる。同じ「運営委託切替」でも、上位プレミアム枠 (新規開業組) と中位ボリューム枠 (既存リブランド組) で価格戦略が二極化している点が読み取れる。
よくある質問
Q. なぜ国内チェーン同士の運営シェア再編が進むのか?
A. 不動産オーナーがアセットマネジメントを強化し、運営力のあるオペレーターへ委託を切り替える動きが加速しているためである。建物所有とホテル運営を分離する所有・運営分離 (オペレーション切り出し) が標準化しつつあり、政令市の中規模物件で特に顕在化している。
Q. 外資ブランドの全面進出ではなく、ダブルブランドが選ばれる理由は?
A. 国内オペレーターが地域運営ノウハウを保持しつつ、外資のディストリビューションネットワークと会員プログラムを活用できるためである。広島の事例 (東急ステイ × Mercure) では洗濯乾燥機など国内仕様の滞在機能を継承しつつ、Accor Live Limitless 経由の海外送客を取り込む構造になっている。
Q. 客室数80-220室規模に再編が集中するのはなぜか?
A. 当規模はビジネス・観光の両需要を吸収でき、運営委託料の採算ラインに乗りやすい。300室超の大型物件はオーナー直営または外資フルサービスの領域、80室未満は個人運営または小規模チェーンの領域となるため、80-220室帯がチェーン間で最も再編されやすい層となる。
Q. 価格帯が¥11,000-¥80,000まで広がる理由は?
A. 既存物件のリブランドは中位ボリューム帯 (¥11,000-¥28,000) で価格を維持しつつ収益化を図る一方、新規開業のプレミアム枠 (HULIC札幌) は¥41,000-¥80,000の上位レンジで設計される。同じ運営委託でも、目的が「既存稼働改善」か「新規プレミアム創出」かで価格戦略が分かれる。
Q. 法人契約や領収書の取り扱いは?
A. 5物件すべて法人契約を受け付けており、領収書は公式サイトまたは直予約窓口経由で発行される。出張規定での精算可否は各社の運営フォーマットに準拠する。長期滞在割引については東急ステイ メルキュール広島が最も対応が手厚く、1ヶ月単位プランの提供を継承している。
本記事の参考情報
・ヒューリック株式会社 ヒューリックスクエア札幌 — 開発・運営構造の一次情報
・東急リゾーツ&ステイ株式会社 — 国内チェーン×外資ブランドの提携運営事業者
・京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社 — 関西系チェーンの全国展開
編集部から
2025-2026年の地方政令市における運営委託切替は、外資ブランドの全面流入ではなく国内チェーン同士の主導権再配分が主軸であることが、今回の5事例から読み取れる。次の観察焦点は北陸・四国の中核市での同様の動きと、上位プレミアム枠で HULIC 型の不動産統合運営がどこまで地方拡張するかである。続報は新規開業案件ごとに本誌で扱う予定である。