コンラッド横浜は、客室272室・地上40階建て複合ビルの1〜16階を占めるホテルとして、2027年に横浜市中区北仲通6丁目で開業します。所有は横浜に本社を置く大和地所、運営はヒルトンで、両社は2024年4月10日に運営受託契約の締結を発表しました。国内のコンラッドとしては東京・大阪・名古屋に次ぐ4軒目です。開業は「2027年」までが公表済みで、月は未公表です。本記事は、住友不動産・大和地所の共同リリースとヒルトンの公表資料に基づき、建物構成・客室規模・所有と運営の分離という3点から、この1棟を運営構造として読みます。

施設概要 ─ 公表済みの数値
公表資料で確定している数値を一覧にします。出典は住友不動産・大和地所の共同リリース(2024年4月10日)とヒルトンの発表です。
| 項目 | 公表値 |
|---|---|
| ホテル名 | コンラッド横浜(運営:ヒルトン/所有:大和地所) |
| 客室数 | 272室(標準室 約48㎡) |
| 開業 | 2027年(月は未公表) |
| 所在地 | 神奈川県横浜市中区北仲通6丁目103番地他 |
| ホテル階層 | 1〜16階(ロビーは2階/2層吹き抜け) |
| 建物規模 | 地上40階・地下2階、高さ150m |
| 敷地面積/延床面積 | 9,302.31㎡/97,081.86㎡ |
| 住宅部分 | 18〜40階「(仮称)ラ・トゥール横浜」224戸(住友不動産) |
| 宴会・会議 | 約360㎡ボールルーム+ミーティングスペース |
| 料飲・付帯 | 料飲施設4店舗、ジム、スパ、屋内プール、エグゼクティブラウンジ、ウェディングチャペル |
| アクセス | みなとみらい線 馬車道駅 徒歩約2分/JR桜木町駅 徒歩約5分 |
| 着工/竣工 | 2023年4月/2026年11月(予定) |
| 設計/施工 | 久米設計/鹿島建設 |
| 建築主 | 住友不動産、大和地所 |
※ 本文中の目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。コンラッド横浜の料金は未公表のため、比較対象は既存施設のみです。
確定している事実と、まだ確定していないこと
開業まで1年以上ある案件では、確定値と観測値の区別が実務上の意味を持ちます。まず確定側を整理します。客室272室、標準室約48㎡、ホテル階層1〜16階、地上40階・地下2階、高さ150m、延床97,081.86㎡、敷地9,302.31㎡は、住友不動産・大和地所の共同リリースに記載された数値です。約360㎡のボールルーム、料飲4店舗、屋内プール、ウェディングチャペルも同リリースに列挙されています。馬車道駅徒歩約2分・JR桜木町駅徒歩約5分は、ヒルトンの発表に基づく表記です。
未確定側も明示します。開業月は「2027年」までしか公表されていません。一部の情報サイトは開業月を特定して記載していますが、事業者の公表資料には該当する記述がなく、本記事では月を書きません。客室料金、予約開始時期、レストランの業態、総支配人の人事も未公表です。建物の竣工は2026年11月予定で、住宅部分の入居開始は2027年1月予定と公表されています。竣工から開業までの期間は、ホテル部分の内装工事と開業準備に充てられる形になります。
もう1点、同じ建物で交通表記が分かれています。ホテル側の発表は馬車道駅徒歩約2分、住宅「(仮称)ラ・トゥール横浜」の物件概要は同駅徒歩4分です。1階を住宅・ホテル共用の車寄せとする計画で、エントランスの位置が異なるための差と読めます。数字を引用する際は、どちらの主体の表記かを確認する必要があります。
所有と運営の分離 ─ 大和地所が持ち、ヒルトンが運営する
本件の運営構造は明快です。2024年4月10日、大和地所とヒルトンはコンラッド横浜の運営受託契約の締結を発表しました。所有は大和地所、運営はヒルトンという分離型で、フランチャイズではなく運営受託です。土地建物のリスクを取るのは大和地所、ブランドと運営ノウハウを提供するのがヒルトンという分担になります。
大和地所は本社を横浜市中区山下町に置く1993年設立の不動産会社です。分譲マンション「ヴェレーナ」シリーズを手掛ける大和地所レジデンス、京都・八瀬の宿泊施設「moksa」、沖縄・熱海のホテル、4つのゴルフ場などをグループに持ちます。上場企業でも大手デベロッパーでもない地場資本が、272室の外資ラグジュアリーを所有する構図になります。
この点は他のコンラッドと対照的です。コンラッド名古屋が入る「ザ・ランドマーク名古屋栄」は三菱地所・J.フロント都市開発・日本郵政不動産・明治安田生命保険・中日新聞社の5社による共同開発、2030年開業予定のコンラッド神戸はオリックス不動産ほか7社で構成するコンソーシアムによる開発です。所有主体の厚みという意味では、コンラッド横浜は最も集中した形をとっています。裏を返せば、意思決定の主体が分散しない案件でもあります。
建物全体では、建築主に住友不動産と大和地所の2社が並びます。1〜16階のホテルと18〜40階の住宅で用途と主体が分かれ、住宅側は住友不動産の最上級賃貸レジデンス「ラ・トゥール」の横浜初進出です。ラ・トゥールは東京・大阪・京都・札幌に次ぐ5都市目、224戸・平均専有面積100㎡超で、18階に2層吹き抜けのスカイロビーを設けます。1棟に賃貸レジデンスとラグジュアリーホテルが縦に積まれ、それぞれ別の事業主体が運営する構成です。
立地 ─ 「関内側」ではなく、関内とみなとみらいの結節点
北仲通北地区の位置づけは、事業者の公表資料に明記されています。同資料は本地区を「みなとみらい地区と関内地区の結節点」と表現しています。地図上でもそのとおりで、計画地から横浜ランドマークタワーまで直線約0.4km、パシフィコ横浜まで約0.9km、JR関内駅まで約1.0km、横浜駅まで約1.8kmです。関内の奥まった場所ではなく、両地区の境界に立つ敷地です。
歩行者動線も整備されます。計画では2階に横浜市役所から続くペデストリアンデッキを設け、桜木町駅と馬車道駅への回遊性を高めるとされています。市役所と桜木町駅方面をつなぐ大岡川横断人道橋「さくらみらい橋」は2020年6月に開通済みで、デッキはこの既存動線に接続する位置関係になります。海側には広場と水際線プロムナードが整備されます。本計画は2023年5月26日に、都市再生特別措置法に基づく「優良な民間都市再生事業計画」として国土交通大臣の認定を受けています。
出張需要の観点では、パシフィコ横浜まで直線約0.9kmという距離が実務上の意味を持ちます。国際会議や大型展示会の会期中、みなとみらい側の上位帯は早期に埋まります。馬車道駅至近に272室が加わることで、会場徒歩圏の在庫が実質的に厚くなります。
馬車道駅徒歩圏の既存供給と、272室が埋める空白
計画地周辺の既存供給を、公開販売価格の集計に基づく目安価格で整理します。馬車道駅徒歩圏の主な既存施設は、ホテルルートイン横浜馬車道(270室)が1泊2名で1.7万円前後、リッチモンドホテル横浜馬車道(198室)が2.6万円前後の水準です。いずれも出張の実務に強い宿泊特化型で、上位帯ではありません。
| 施設 | エリア | 計画地から | 客室 | 目安価格(中央値) |
|---|---|---|---|---|
| ウェスティンホテル横浜 | みなとみらい | 約0.9km | 373 | ¥63,000 |
| 横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ | 横浜駅西口 | 約1.9km | 348 | ¥58,000 |
| 横浜ベイホテル東急 | みなとみらい | 約0.6km | 480 | ¥55,000 |
| ヨコハマグランド インターコンチネンタルホテル | みなとみらい | 約0.9km | 594 | ¥50,000 |
| ヒルトン横浜 | みなとみらい | 約1.5km | 339 | ¥50,000 |
| ホテルニューグランド | 山下町 | 約1.5km | 238 | ¥46,000 |
| ハイアット リージェンシー 横浜 | 山下町 | 約1.4km | 315 | ¥45,000 |
| シタディーンハーバーフロント横浜 | 日本大通 | 約0.9km | 242 | ¥36,000 |
| リッチモンドホテル横浜馬車道 | 馬車道 | 約0.4km | 198 | ¥26,000 |
| ホテルルートイン横浜馬車道 | 馬車道 | 約0.5km | 270 | ¥17,000 |
表2が示すのは、価格帯とエリアの対応関係です。4.5万円を超える帯はみなとみらい・横浜駅西口・山下町に分布し、馬車道駅周辺には存在しません。距離としては近くても、駅としての最寄りが分かれています。コンラッド横浜の272室は、馬車道駅を最寄りとする初めての上位帯供給になります。なお関内側では2026年4月にOMO7横浜(276室)が開業しており、中位帯の供給は直近で増えています。
横浜の上位帯供給カレンダー ─ 603室の空白と2027年
横浜の上位帯を時系列で見ると、コンラッド横浜の位置づけがはっきりします。横浜ロイヤルパークホテル(603室、横浜ランドマークタワー52〜67階)は2025年3月31日をもって休館し、大規模リニューアル工事に入りました。三菱地所の発表によれば、マリオット・インターナショナルとフランチャイズ契約を締結し、ラグジュアリーコレクションとして2028年度に再開業する予定です。商号は再開業後も継承されます。
つまり横浜の上位帯は、2025年3月から603室が市場から外れた状態にあります。この空白は2028年度まで続きます。コンラッド横浜272室が2027年に加わるのは、その空白期の終盤です。数の上では603室の減に対して272室の増ですから、全体としては戻り切りません。ただし供給される場所が変わります。抜けたのはランドマークタワー52〜67階、加わるのは馬車道駅至近の1〜16階です。高層階の眺望を売る客室から、駅至近の低中層で客室面積を売る客室への置き換わりと読めます。
標準室約48㎡という数字はこの文脈で効きます。表2に並ぶ既存施設の多くは1990年代から2000年代の設計で、標準室は30㎡台から40㎡台前半が中心です。48㎡は現行の国内ラグジュアリー新規案件として標準的な水準ですが、横浜の既存ストックに対しては明確に上振れします。272室×48㎡という規模は、法人の長期出張や、国際会議の主催者側スタッフのような複数泊需要に対応しやすい構成です。
国内4軒目 ─ 東京・大阪・名古屋との比較
事業者の公表資料は、コンラッド横浜を「2026年開業予定のコンラッド名古屋に次ぐ4軒目の開業」と明記しています。ここは表記の整理が要る点で、2024年4月時点のヒルトンの日本語リリースは序数を用いず、「国内では『コンラッド東京』と『コンラッド大阪』の2軒を展開しており、2026年に『コンラッド名古屋』の開業を予定しています」と記していました。その後コンラッド名古屋の開業日が2026年7月31日に確定し、開業順では横浜が4軒目にあたります。
規模を並べると差が見えます。コンラッド東京は291室、コンラッド大阪は164室、コンラッド名古屋は170室です。272室のコンラッド横浜は東京に次ぐ2番目の規模で、名古屋・大阪の1.6倍前後にあたります。約360㎡のボールルームを備える点も、名古屋(最大約180名収容のボールルーム)より宴会容量に振った構成です。
建物内の位置も異なります。名古屋は41階建て複合ビルの10・11階および31〜40階、つまり高層階に客室を置く構成です。横浜は1〜16階の低中層に16層を確保しました。高層部を賃貸レジデンスに割り当てた結果ですが、ホテル側にとっては水際に面した低層でロビー・宴会・料飲の面積を取りやすい配置になります。ロビーを2階の2層吹き抜けとし、1階を車寄せと広場に充てる計画は、この階層配分と整合します。
Media Picks Score
Media Picks Score: 90 / 100
コンラッド横浜は未開業のため、宿泊者の公開レビューデータは存在しません。本スコアは編集部が、立地(馬車道駅徒歩約2分、パシフィコ横浜まで直線約0.9km)、規模(272室・標準室約48㎡)、運営主体(ヒルトンによる運営受託)、周辺の供給環境(馬車道駅圏に上位帯の既存供給がなく、上位帯全体は2025年3月から603室減)の4点を評価して付与した暫定値です。開業後、公開レビューデータの集計が可能になった時点で再算定します。減点要因は、開業月・料金・予約開始時期がいずれも未公表である点です。
具体情報
- 最寄り駅: みなとみらい線 馬車道駅 徒歩約2分/JR・市営地下鉄 桜木町駅 徒歩約5分
- 客室: 272室、標準室 約48㎡(1〜16階)
- 宴会・会議: 約360㎡ボールルーム+ミーティングスペース
- 料飲: 4店舗(オールデイダイニング、スペシャリティレストラン、バーを含む)
- 付帯施設: ジム、スパ、屋内プール、エグゼクティブラウンジ、ウェディングチャペル
- 建物: 地上40階・地下2階、高さ150m、延床97,081.86㎡、敷地9,302.31㎡、RC造一部S造・制振構造
- 用途地域: 商業地域(建ぺい率80%/容積率750%)
- 開業: 2027年(月は未公表)/建物竣工は2026年11月予定
- 所有・運営: 所有=大和地所、運営=ヒルトン(2024年4月10日 運営受託契約締結を発表)
- 同一建物: 18〜40階「(仮称)ラ・トゥール横浜」224戸(住友不動産、2027年1月入居予定)
向く出張 / 向かない出張
-
向く:
パシフィコ横浜での国際会議・大型展示会に会場徒歩圏で入りたい出張、約360㎡のボールルームを使う自社主催イベント、標準室48㎡を前提とした役員クラスの複数泊、関内の官公庁・企業とみなとみらいの拠点を同日で回る日程 -
向かない:
2027年の開業前に発生する案件(現時点で予約は受け付けられていません)、宿泊単価を1泊2万円台に抑える必要がある規程の出張、新横浜駅発着の新幹線を軸にした日程(馬車道駅からは乗り換えが必要)、横浜駅での終電を前提とする夜間動線
よくある質問
Q. 開業は2027年の何月ですか。
A. 月は未公表です。事業者の公表資料に記載があるのは「2027年開業」までで、ヒルトン・大和地所・住友不動産のいずれも開業月を発表していません。建物の竣工は2026年11月予定、同一建物の住宅部分の入居開始は2027年1月予定と公表されています。月を特定して記載している情報サイトもありますが、一次資料には該当する記述がありません。
Q. 予約はいつから受け付けますか。
A. 予約開始時期は未公表です。参考として、2026年7月31日開業のコンラッド名古屋は、開業の約2か月半前にあたる2026年5月13日に公式サイトでの宿泊予約受付を開始しました。同程度の間隔であれば、開業の2〜3か月前が目安になります。ただしコンラッド横浜について同様の運用を示す発表はありません。
Q. パシフィコ横浜での会議に使えますか。
A. 計画地からパシフィコ横浜まで直線約0.9kmで、徒歩圏です。加えて自館に約360㎡のボールルームとミーティングスペースを備える計画で、主催者側の分科会や関連レセプションを館内で完結させる使い方も想定できます。事業者の公表資料も、本計画がMICE誘致可能な大型バンケットを供給する点を認定評価の要素として挙げています。
Q. 同じ建物の住宅部分とは動線が分かれますか。
A. 用途と階層が分かれています。ホテルは1〜16階でロビーは2階、住宅は18〜40階でロビーは18階です。1階は住宅・ホテル共用の車寄せとする計画です。交通表記もホテル側が馬車道駅徒歩約2分、住宅側が徒歩4分と分かれており、エントランスの位置が異なることを示しています。
Q. 開業までの間、同エリアで上位帯の代替はありますか。
A. 計画地から直線1km前後の範囲に、ヨコハマグランド インターコンチネンタルホテル(594室)、横浜ベイホテル東急(480室)、ウェスティンホテル横浜(373室)、ヒルトン横浜(339室)が分布しています。目安価格は1泊2名で5万〜6万円台が中心です。ただし横浜ロイヤルパークホテル(603室)は2025年3月31日から休館中で、再開業は2028年度予定です。大型会期中は在庫が締まりやすい構成になっています。
本記事の参考情報
・Hilton Stories(ヒルトン公式ニュースルーム) — コンラッド横浜の発表(2024年4月10日)
・住友不動産・大和地所 共同リリース(PDF) — 建物概要・用途構成・認定情報
・ヒルトン 日本語プレスリリース — 客室数・施設構成・アクセス
・株式会社大和地所 会社概要 — 所有主体の企業情報
・三菱地所 ニュースリリース — 横浜ロイヤルパークホテルの休館と2028年度再開業
・横浜市 都市整備局「北仲通北再開発等促進地区」 — 地区計画
編集部から
本件で押さえるべきは、272室という数そのものより、その272室がどこに置かれるかです。横浜の上位帯はこれまでみなとみらいと横浜駅西口、そして山下町に分かれて立地してきました。馬車道駅を最寄りとする上位帯は存在せず、駅前は宿泊特化型が担ってきました。コンラッド横浜はその構図を変えます。そして所有は地場の大和地所、運営はヒルトンの受託、上層階は住友不動産の賃貸レジデンスという、主体が縦に分かれた1棟です。2026年11月の竣工から2027年の開業まで、開業月・料金・予約開始という3つの未公表項目がどの順で埋まるかが、次の観測点になります。
次に読むなら
・コンラッド名古屋、2026年7月31日開業 ─ 名駅圏の上位ブランド供給が中京出張の宿泊帯をどう押し上げるか
・ヒルトン・ガーデン・イン横浜みなとみらい、客室228・2026年4月7日開業
・コートヤード・バイ・マリオット新横浜駅、203室・2026年12月リブランド開業
・パシフィコ横浜・みなとみらい線徒歩7分圏、客室120室以上のビジネスホテル5軒