旧パレスホテル立川を改修した「THE NEXTT HOTEL」が、2027年3月1日に東京都立川市曙町で開業します。運営は立飛ホールディングスの100%子会社、立飛ホスピタリティマネジメントです。客室は211室、建物は地下2階地上12階、延床面積は約25,800平方メートル。4階に約1,050平方メートル・最大約1,500名の大宴会場を置き、3階の中小宴会場と合わせて全7室のバンケットを構えます。本稿は、公開されている諸元を旧パレスホテル立川の営業時の諸元と突き合わせ、この案件が「建替え」ではなく「改修」として成立した構造を数値で読みます。

施設概要 ─ 211室、延床25,800平方メートル
公表されている諸元は次のとおりです。所在地は東京都立川市曙町2-40-15、JR立川駅北口の再開発地区「ファーレ立川」内にあたります。客室は6階から12階に配置され、宴会機能は3階と4階に集約されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開業日 | 2027年3月1日 |
| 客室数 | 211室(6〜12階) |
| 建物規模 | 地下2階地上12階、延床約25,800平方メートル、敷地約3,644平方メートル |
| 宴会場 | 全7室。4階 約1,050平方メートル(最大約1,500名)、3階 約430平方メートル×1室・約55〜110平方メートル×5室 |
| 客室タイプ | ダブル18〜24平方メートル、ツイン24〜48平方メートル、スイート56〜99平方メートル、ユニバーサル48平方メートル、ドッグルーム36〜48平方メートル(全10室)、和室48平方メートル |
| 飲食 | オールデイダイニング、ベーカリー、中国料理、原始焼き、バー、ショップ |
| 運営 | 株式会社立飛ホスピタリティマネジメント(立飛ホールディングス100%子会社) |
| 予約受付 | 宴会場は2027年3月以降分の受付を開始済み。宿泊予約は2026年秋頃開始予定 |
1,050平方メートルは新設ではない ─ 旧ローズルームとの一致
この案件で最も注目されるのは、4階の大宴会場です。約1,050平方メートル・最大約1,500名という規模は、多摩地域の宿泊施設の宴会場としては突出しています。ただし、この数字は新たに作られたものではありません。
営業当時のパレスホテル立川が公開していた宴会場一覧によると、4階の大宴会場「ローズルーム」は全スパンで1,050平方メートル(318坪)、立食パーティー1,500名、シアター1,500名でした。3階の中宴会場「こぶしの間」は全スパン430平方メートルです。THE NEXTT HOTEL が公表する「4階 約1,050平方メートル・最大約1,500名」「3階 約430平方メートル」は、いずれも旧館の諸元と一致します。つまり大型宴会機能は、改修によって新設されたのではなく、既存躯体からそのまま引き継がれたと読むのが自然です。
一方で、室数は減っています。旧館は4階のローズルームと3階のこぶしの間に加え、3階に小宴会場6室(54〜60平方メートル)、5・6階に小宴会場4室(49〜57平方メートル)を備えていました。新体制の開示は全7室で、5・6階の小宴会場は構成に含まれていません。小口の宴会・会議室を削り、旗艦ホールと中規模ホールに機能を寄せた形です。客室が6階から始まる点と合わせると、上層の小宴会場フロアを宿泊側へ振り替える再配分が読み取れます。

客室238室から211室へ ─ 面積レンジは旧館と同値
旧パレスホテル立川の客室は全10タイプ238室でした。内訳はスタンダードダブル90室(18.0平方メートル)、スタンダードツイン100室(24.2平方メートル)、スーペリアダブル20室(24.2平方メートル)が主力で、上位にデラックスツイン7室(40.7平方メートル)、和室3室(48.0・56.3平方メートル)、スイートルーム1室(99.3平方メートル)、バリアフリールーム1室(38.0平方メートル)が置かれていました。
THE NEXTT HOTEL の客室面積レンジを重ねると、下限18平方メートル、和室48平方メートル、上限99平方メートルという値が旧館とそのまま重なります。水回りや間仕切りの位置を大きく動かさない改修であることを示す数字です。差分は27室の減少と、構成の入れ替えに表れます。ドッグルームを36〜48平方メートルで10室設定し、バリアフリールーム1室(38.0平方メートル)はユニバーサルルーム48平方メートルへ拡張されました。ツインの上限も40.7平方メートルから48平方メートルへ広がっています。
| 項目 | パレスホテル立川(〜2023年12月) | THE NEXTT HOTEL(2027年3月〜) |
|---|---|---|
| 客室数 | 238室(全10タイプ) | 211室 |
| 客室面積 | 18.0〜99.3平方メートル | 18〜99平方メートル |
| 大宴会場 | ローズルーム 1,050平方メートル/1,500名 | 4階 約1,050平方メートル/最大約1,500名 |
| 中宴会場 | こぶしの間 430平方メートル | 3階 約430平方メートル |
| 小宴会場 | 3階6室・5〜6階4室(49〜60平方メートル) | 3階5室(約55〜110平方メートル) |
| 宴会場合計 | 12室 | 7室 |
| 建物 | 地下2階地上12階(1994年10月13日開業) | 同一建物を改修 |
なぜ建替えでも住宅転用でもなく改修か
この建物は一度、ホテル以外の用途に転じかけています。パレスホテル立川は1994年10月13日に開業し、施設の老朽化と新型コロナウイルス禍の影響を受けて2023年12月31日に営業を終了しました。2023年7月には三菱地所レジデンスが土地・建物を取得し、高層マンションの建設が計画されていました。
計画が変わったのは2024年4月です。同社から立飛ホールディングスへ土地・建物が移り、用途はホテルとして維持されました。立飛ホールディングスは立川に大規模な土地を保有する不動産会社で、地域の開発を主導する立場にあります。報道によれば、同社は工事費の上昇が続くなかで検討を重ね、解体・建替えではなく内部改修による開業を選びました。
延床約25,800平方メートルの躯体を残し、1,050平方メートルの無柱に近い大空間と、それを支える搬入・厨房動線をそのまま使う。この判断は、資材費と人件費が上昇し新築の宴会場付きフルサービスホテルが成立しにくい現在の条件下では、合理性が高いと言えます。宴会場は床面積あたりの建設単価が高く、新設のハードルが最も上がった用途だからです。既存ストックに1,050平方メートルの宴会場が付いていること自体が、この物件の希少性を形づくっています。
運営構造 ─ オーナー企業による自社運営の3件目
運営を担う立飛ホスピタリティマネジメントは、立飛ホールディングスの100%子会社です。同社は2020年6月、立川駅北側の大規模複合施設「GREEN SPRINGS」内に SORANO HOTEL を開業し、2023年春には立川市錦町に和のオーベルジュ「Auberge TOKITO」を開業しています。THE NEXTT HOTEL は同社が運営する3件目の宿泊施設となります。
構造としては、土地・建物を保有するオーナー企業が、運営会社を外部委託せず自社グループ内に持つ形です。外部ブランドのフランチャイズや運営委託と比べ、ブランドフィーの支出がなく、宴会・レストラン部門の値付けや地域法人との取引条件を自社判断で決められます。一方で、需要の変動リスクは全額を自社で負います。宿泊特化型と異なり宴会・料飲の人件費比率が高い業態であるため、稼働の平準化が収益の分かれ目になります。
コンセプトは「CASUAL but SPECIAL」で、公式サイトはビジネス利用と週末の滞在の双方を想定した表現を採っています。ドッグルームを10室設ける点や、1階のグリルレストランとベーカリーを宿泊者以外にも開く方針は、平日の法人需要と週末の地域需要を1棟で拾う設計と読めます。

立地と動線 ─ JR立川駅北口から歩行者デッキで直結
公式サイトのアクセス表記は「JR立川駅北口より歩行者デッキで直結、徒歩5分」「多摩モノレール立川北駅よりサンサンロードまたは歩行者デッキで徒歩3分」です。立川駅北口はデッキ網が整備された再開発エリアで、平面の横断を挟まずに到達できます。1,500名規模の宴会を扱う施設にとって、雨天時も滞留を生みにくい歩行者デッキ直結は実務上の利点になります。
広域アクセスでは、中央線で新宿まで約25分です。立川駅にはJR中央線・青梅線・南武線が乗り入れ、多摩都市モノレールが南北を結びます。国の機関や研究施設、防災拠点が集まる多摩地域の中心に位置し、法人研修や大会・懇親会の会場としての需要が見込める立地です。
多摩の宴会需要と競合 ─ 540平方メートルとの差
立川駅周辺で宴会機能を持つ既存の大型施設としては、客室251室のホテルエミシア東京立川があります。同ホテルの公式サイトによれば、最大の宴会場「カルログランデ」は540平方メートル、正餐420名・シアター600名です。THE NEXTT HOTEL の1,050平方メートル・最大約1,500名は、この約2倍の規模にあたります。運営会社が掲げる「多摩エリア最大級」という位置づけは、この対比から見て妥当な範囲です。
立川駅周辺2.5キロ圏には、客室60室以上の宿泊施設が10軒台で存在します。ただし多くは宿泊特化型または中規模の宴会場を持つ施設で、1,000平方メートル級のホールを備える施設は限られます。パレスホテル立川の営業終了以降、多摩地域では1,000名を超える着席・立食を1室で収容できる会場の選択肢が減っていました。2027年3月の開業は、その空白が3年2か月ぶりに埋まることを意味します。
Media Picks Score
Media Picks Score: 74 / 100(開業前・暫定)
本稿の対象は2027年3月1日開業予定の施設で、営業実績がありません。Media Picks Score は公開レビューデータを集計した評価要素と編集部の評価要素を合成しますが、本件はレビュー要素が存在しないため、立地・規模・設備・運営体制の開示情報のみで算出しています。内訳は立地(駅デッキ直結)、宴会容量(1,050平方メートル)、運営体制(オーナー企業による自社運営)が加点要素、営業実績の不在が減点要素です。開業後、公開レビューデータが蓄積された時点で再算出します。
※ 宿泊料金は未公表です。公式サイトは宿泊予約の受付開始を2026年秋頃と告知しており、本稿の執筆時点で参考価格を示せる公開販売価格はありません。
よくある質問
Q. 宿泊予約はいつから受け付けますか?
A. 公式サイトは宿泊予約の受付開始を2026年秋頃と告知しています。開始日が決まり次第、公式サイトで案内される予定です。宴会場については、2027年3月以降の利用分の受付がすでに始まっています。
Q. 宴会場の規模と分割利用は?
A. 4階の大宴会場が約1,050平方メートルで最大約1,500名、3階に約430平方メートルの中宴会場1室と約55〜110平方メートルの小宴会場5室を備え、合計7室です。旧パレスホテル立川では同じ4階のホールが3分割(317・317・416平方メートル)で運用されていました。新体制での分割単位は公表されていないため、確認が必要です。
Q. JR立川駅からのアクセスは?
A. 公式サイトの表記は、JR立川駅北口から歩行者デッキで直結して徒歩5分、多摩モノレール立川北駅からサンサンロードまたは歩行者デッキ経由で徒歩3分です。新宿からは中央線で約25分です。
Q. 法人研修や大会での利用に向きますか?
A. 1室で1,500名規模を収容できるホールと客室211室を同一建物に持つ構成は、宿泊を伴う研修・大会・懇親会を1棟で完結させる用途に適します。立川駅周辺で同等規模のホールを持つ施設は限られます。ただし料金体系や法人契約の条件は未公表です。
Q. 旧パレスホテル立川との関係は?
A. 建物は同一です。パレスホテル立川は1994年10月13日に開業し、2023年12月31日に営業を終了しました。運営会社およびブランドは継承されておらず、立飛ホスピタリティマネジメントによる新ブランドとして開業します。建物は解体されず、内部改修によって再利用されます。
本記事の参考情報
・THE NEXTT HOTEL 公式サイト — 客室・宴会場・アクセスの一次情報
・立飛ホールディングス「東京・立川に『THE NEXTT HOTEL』2027年3月1日開業決定」 — 開業日・施設諸元のリリース
・Wikipedia: パレスホテル立川 — 旧施設の沿革と営業終了の経緯
編集部から
この案件の要点は、宴会場が新設ではなく継承である点にあります。工事費の上昇によって、1,000平方メートル級の宴会場を新築で立ち上げる判断は難しくなりました。そのなかで、いったん住宅への転用が決まりかけた建物がホテルとして戻り、地域最大級のホールが3年余りの空白を経て再稼働します。既存ストックの宴会場が、建替えでは再現しにくい資産として評価され直した事例と言えます。多摩地域の法人需要をどこまで取り戻せるかは、2026年秋に始まる宿泊予約の価格設定と、宴会部門の稼働の作り方に表れます。innippon は開業前後の料金体系と稼働状況を継続して追います。
次に読むなら
・立川・八王子・府中 多摩3市 駅前徒歩7分圏・客室80室以上のビジネスホテル5軒
・神戸マリオットホテル、客室186室・2025年12月1日開業 ─ 旧ホテルクラウンパレス神戸のリブランドを深掘り
・ANAクラウンプラザ 知立・浜松・高知、旧クラウンパレス3棟が2026年下期に同時リブランド