KOKO HOTELS が温泉特化の新サブブランド「kokonoyu(ここのゆ)」を立ち上げ、その第 1 号店となる全 150 室のホテルを 2027 年夏、JR 別府駅西口徒歩 3 分に開業します。事業主は東京建物とミサワホームの 2 社、運営はポラリス・ホールディングス連結子会社の株式会社フィーノホテルズが担います。着工は 2025 年 11 月 13 日、竣工予定は 2027 年 5 月末日。RC 造地上 10 階建で、最上階の 10 階に露天風呂付の天然温泉大浴場、2 階に朝食レストランを配置します。本稿は宿泊体験の評価ではなく、公表済みの一次情報に絞って、室数・面積・工期・事業体制という供給側の数字からこの 1 棟を読みます。

計画概要 ─ 公表済みの数字を押さえる
「kokonoyu 別府」の所在地は大分県別府市野口中町 1748 番 4 外です。敷地面積は約 1,960 ㎡、延床面積は約 7,475 ㎡。構造・規模は RC 造地上 10 階建で、客室は全 150 室、全 13 タイプ構成となります。アクセスは JR 日豊本線「別府」駅西口から徒歩 3 分、大分空港から車で約 60 分です。
スケジュールは、着工が 2025 年 11 月 13 日、竣工予定が 2027 年 5 月末日、開業予定が 2027 年夏頃。着工から竣工までは約 18.5 か月、竣工から開業までにはおおむね 1〜3 か月の準備期間が置かれる計算になります(工期・準備期間は公表日付からの編集部算出)。
設計は株式会社エイ.アンド.エス.システム、施工は株式会社和田組、インテリアデザインは UDS 株式会社が担当します。付帯施設として公表されているのは、レストラン(朝食会場)と屋上露天風呂付天然温泉大浴場の 2 つです。朝食レストランは 2 階、天然温泉大浴場は最上階の 10 階に配置され、露天風呂からは別府タワーが一望できるとされています。
| 項目 | 公表値 |
|---|---|
| 所在地 | 大分県別府市野口中町1748番4外 |
| アクセス | JR日豊本線「別府」駅西口 徒歩3分 / 大分空港より車で約60分 |
| 敷地面積 | 約1,960 ㎡ |
| 延床面積 | 約7,475 ㎡ |
| 構造・規模 | RC造 地上10階建 |
| 客室数 | 150室(全13タイプ) |
| 客室構成 | ツイン131室(26.33〜53.88 ㎡)/ダブル19室(21.97〜26.64 ㎡、ユニバーサルルーム2室を含む) |
| 付帯施設 | レストラン(朝食会場、2階)/屋上露天風呂付天然温泉大浴場(10階) |
| 着工 | 2025年11月13日 |
| 竣工 | 2027年5月末日(予定) |
| 開業 | 2027年夏頃(予定) |
| 事業主 | 東京建物株式会社、ミサワホーム株式会社 |
| 運営 | 株式会社フィーノホテルズ(ポラリス・ホールディングス連結子会社) |
| 設計 / 施工 | 株式会社エイ.アンド.エス.システム / 株式会社和田組 |
| インテリアデザイン | UDS株式会社 |
※ 施設情報およびイメージは発表時点の予定・仮称であり、変更となる場合があります。投資額および用途地域は公表されていません。
客室構成 ─ 150室・13タイプ、ツインが87.3%

客室 150 室の内訳は、ツイン 131 室、ダブル 19 室です。構成比はツイン 87.3%、ダブル 12.7%(編集部算出)。面積帯はツインが 26.33〜53.88 ㎡、ダブルが 21.97〜26.64 ㎡で、ダブル 19 室にはユニバーサルルーム 2 室が含まれます。ユニバーサルルームの全体比率は 1.3% です。
注目すべきは、ツインの下限 26.33 ㎡がダブルの上限 26.64 ㎡とほぼ同水準にある点です。ダブルは面積で下位に置かれた廉価タイプではなく、2 つのタイプ系列が同じ面積帯で重なっています。最小客室でも 21.97 ㎡が確保されており、面積の下限を切り下げて室数を積む設計にはなっていません。
13 タイプという構成は、150 室を割ると 1 タイプあたり平均 11.5 室です。宿泊特化型としてはタイプ数が多く、清掃・在庫管理・料金設定の運用負荷は単一タイプ主体の施設より重くなります。事業者は「少人数から家族・グループ旅行まで幅広い需要に応える」ためのタイプ構成としており、上限 53.88 ㎡のツインは複数名利用を想定した区画とみられます。ただし各タイプの定員および室数内訳は公表されていません。
延床面積 7,475 ㎡を 150 室で割ると 1 室あたり約 49.8 ㎡(編集部算出)。客室専有面積の加重平均が公表されていないため共用部比率の厳密な算出はできませんが、最上階の大浴場と 2 階レストランを抱える構成上、共用部に相応の面積が配分されていることは読み取れます。敷地 1,960 ㎡に対する延床 7,475 ㎡は約 381%(編集部算出)で、駅至近の敷地を高さで消化した計画です。
最上階の温泉大浴場 ─ 別府駅前の供給空白を埋める設計

天然温泉大浴場は最上階の 10 階に置かれ、露天風呂を併設します。大浴場を最上階に上げる構成は、構造・設備計画上の負担が増える一方、眺望条件の良い最上階を客室ではなく共用施設に充てるという面積配分の選択でもあります。露天風呂からは別府タワーが一望できるとされています。
事業者はこの計画の前提として、別府エリアで韓国をはじめとするアジア圏を中心にインバウンド需要が旺盛である一方、「特に別府駅前エリアでは温泉大浴場を備えた宿泊施設の新規供給が限定的」との認識を示しています。温泉地としての別府の集客力と、駅前という宿泊特化型の立地条件が、同一棟のなかで接続されてこなかったという読みです。150 室の規模で駅西口徒歩 3 分に温泉大浴場付きの新築を入れる判断は、この空白認識を前提に置いています。
運営構造 ─ 事業主2社と運営者1社を分離
事業体制は、事業主が東京建物とミサワホームの 2 社、ホテル運営者が株式会社フィーノホテルズという構成です。フィーノホテルズは東証スタンダード市場上場のホテルオペレーター、ポラリス・ホールディングスの連結子会社にあたります。開発主体と運営主体が分離した、いわゆる所有・運営分離型の枠組みです。なお、賃貸借契約か運営委託契約かという契約形態、賃料・フィー水準、契約年数は公表されていません。
東京建物は 1896 年(明治 29 年)創業の総合不動産会社で、ホテル事業では複数のオペレーターとの協業による開発・運用を進めています。直近では 2024 年 8 月に「フォーシーズンズホテル大阪」、2024 年 9 月に「ヒルトン京都」を開業し、2028 年には「ラッフルズ東京」の開業を予定しています。大分県内では由布市湯布院町の「レジーナリゾート由布院」を 2025 年 11 月 16 日に開業しており、kokonoyu 別府は同社にとって県内 2 件目の案件となります。
ミサワホームは 1967 年(昭和 42 年)創業の住宅メーカーで、まちづくり事業の一環としてホテル事業に取り組んでいます。2025 年 9 月に静岡県御殿場市で「edit x seven 富士御殿場」を開業しており、同ホテルではオリジナル家具・アイテムの制作納品を手がけています。住宅メーカーが事業主として参画する構図は、内装・什器の内製ノウハウを開発側から持ち込める点で、デベロッパー単独案件とは調達の流れが異なります。
ポラリス・ホールディングスは国内外で 106 ホテル 15,573 室(2025 年 10 月末時点、運営予定客室数を含む)を展開します。九州では福岡県・熊本県・鹿児島県・宮崎県で計 11 ホテルを運営中で、大分県は本件が初進出です。九州 5 県目への進出が、既存ブランドの横展開ではなく新ブランドの第 1 号店という形を取った点が、この案件の構造上の特徴です。
ブランド戦略 ─ KOKO HOTELS の5番目のサブブランド
KOKO HOTELS はポラリスのオリジナルブランドで、「Here Discovery Begins―ここから見つける旅を」をコンセプトに掲げます。既存のサブブランドは「KOKO HOTEL」「KOKO STAY」「KOKO HOTEL Premier」「KOKO HOTEL Residence」の 4 つで、日本全国に 76 ホテル 10,810 室(2025 年 10 月末時点、運営予定客室数を含む)を展開しています。「kokonoyu」はここに加わる 5 番目のサブブランドです。
76 ホテル 10,810 室を割ると 1 ホテルあたり平均 142.2 室、ポラリス・ホールディングス全体の 106 ホテル 15,573 室では平均 146.9 室となります(いずれも編集部算出)。kokonoyu 別府の 150 室は、この平均とほぼ同じ規模帯です。新ブランドの第 1 号店でありながら、室数においてはグループの標準的な 1 棟のサイズを踏襲しています。ブランドの差分は規模ではなく、温泉大浴場という設備と客室面積帯に置かれていると読めます。
「kokonoyu」のコンセプトは「Retreat―自分と向き合い、心を解き放つ滞在―」。事業者は、インバウンドの訪日目的として温泉入浴や旅館宿泊といった日本独自の体験を求める需要が高まっていること、また国内客にもホテルの快適性を保ちながら日本的な空間を求める需要があることを、ブランド立ち上げの背景として説明しています。既存 4 ブランドがバジェットクラスからスモールラグジュアリーまで価格帯・滞在形態で分かれているのに対し、kokonoyu は「温泉文化体験」という体験軸で切られた 5 本目という位置づけです。
ブランドの第 1 号店は、以後の横展開時に仕様・原価・運用の基準になります。150 室・13 タイプ・最上階大浴場という組み合わせが 2 号店以降に反復されるのか、それとも別府固有の仕様に留まるのかは、現時点では公表されていません。
別府駅圏の既存供給との対比
150 室という規模を、別府駅周辺で現に営業している施設と並べて確認します。以下は駅からおおむね 1.5 km 圏の施設のうち、客室数と直近 90 日間の公開販売価格が揃う 8 施設を抜粋し、目安価格帯(1 泊 2 名・1 室あたり、税込)を並べたものです。この 8 施設のほかに、アマネク別府ゆらり(191 室)とアパホテル〈別府駅前〉(177 室)が駅至近に立地します。kokonoyu 別府は未開業のため価格の集計対象外です。
| 施設 | 所在 | 客室数 | 目安価格(1泊2名) |
|---|---|---|---|
| kokonoyu 別府(2027年夏開業予定) | 野口中町 | 150 | 未公表 |
| 亀の井ホテル 別府 | 中央町 | 322 | ¥21,000–¥33,000 |
| 別府八湯 御宿野乃別府 | 駅前本町 | 269 | ¥34,000–¥50,000 |
| スーパーホテル 別府駅前 | 駅前町 | 132 | ¥14,000–¥24,000 |
| ホテルアーサー | 北浜 | 119 | ¥13,000–¥18,000 |
| ホテルシーウェーブ別府 | 駅前町 | 91 | ¥13,000–¥22,000 |
| アマネクイン別府 | 駅前本町 | 64 | ¥22,000–¥54,000 |
| 別府ステーションホテル | 駅前町 | 57 | ¥10,000–¥14,000 |
| 別府第一ホテル | 野口元町 | 46 | ¥16,000–¥26,000 |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)、直近90日間の分布の第1四分位〜第3四分位を千円単位に丸めた値です。
150 室は、上表の 8 施設のなかでは 322 室、269 室に次ぐ第 3 位ですが、表に含めていないアマネク別府ゆらり(191 室)とアパホテル〈別府駅前〉(177 室)も駅至近に立地するため、別府駅圏全体では 5 番目の規模になります。100 室超の施設は、カプセルホテルを除いても既存 7 件を数えます。価格帯は 1 泊 2 名で ¥10,000〜¥54,000 と広く分布しており、駅前町・駅前本町に集中する 50〜130 室クラスの下限帯と、より高い価格帯で販売される中〜上位クラスとで層が分かれています。
kokonoyu 別府の販売価格は公表されていません。ただし客室下限 21.97 ㎡・ツイン下限 26.33 ㎡という面積構成と、最上階の天然温泉大浴場という設備は、価格帯の下限層ではなく中位以上での投入を示唆する仕様です。実際の設定は開業前の販売開始時点まで確認できません。
スケジュールと今後の論点
竣工は 2027 年 5 月末日、開業は 2027 年夏頃です。この 2 時点の間に、什器搬入、試運転、人員採用・研修、販売開始が入ります。150 室・13 タイプという構成は、開業時の要員計画と客室在庫の初期設定に一定の工数を要する規模です。
今後の確認点は 3 つに整理できます。第 1 に、販売開始時期と価格帯の設定水準。第 2 に、賃貸借か運営委託かという契約形態と、それに伴う事業主側の収益認識。第 3 に、kokonoyu ブランドの 2 号店以降の計画有無と、別府仕様がどこまで標準化されるかです。いずれも 2026 年 7 月時点では公表されていません。
Media Picks Score ─ 未開業のため未付与
本記事では kokonoyu 別府に Media Picks Score を付与していません。Media Picks Score は公開レビューデータを集計した評価を主成分とする指標であり、2027 年夏開業予定で営業実績のない本件には算出根拠が存在しないためです。開業後、一定量の公開レビューデータが蓄積された時点で改めて算出対象とします。
本記事に掲載した数値のうち、物件概要・事業体制・ブランド規模は事業者の公表資料に基づく一次情報です。目安価格帯は公開販売価格の集計に基づく参考値、面積按分・構成比・工期などの割り算は編集部算出であることを、それぞれ本文中に明示しています。
よくある質問
Q. 開業時期と予約開始はいつですか?
A. 開業は 2027 年夏頃の予定です。竣工予定が 2027 年 5 月末日であることから、販売開始はそれ以降の告知になるとみられます。予約開始日、販売チャネル、料金は 2026 年 7 月時点で公表されていません。施設情報およびイメージは発表時点の予定・仮称であり、変更の可能性があります。
Q. 運営するのはどの会社ですか?
A. 株式会社フィーノホテルズです。東証スタンダード市場に上場するホテルオペレーター、ポラリス・ホールディングス株式会社の連結子会社にあたります。一方、事業主は東京建物株式会社とミサワホーム株式会社の 2 社で、開発主体と運営主体が分離した体制です。両者の契約形態(賃貸借か運営委託か)は公表されていません。
Q. 既存の KOKO HOTELS と何が違うのですか?
A. kokonoyu は KOKO HOTELS の 5 番目のサブブランドです。既存の「KOKO HOTEL」「KOKO STAY」「KOKO HOTEL Premier」「KOKO HOTEL Residence」が価格帯・滞在形態で分かれているのに対し、kokonoyu は「日本の温泉文化体験」を軸に据えたブランドとして立ち上げられました。別府の第 1 号店では、最上階の露天風呂付天然温泉大浴場と、下限 21.97 ㎡・ツイン上限 53.88 ㎡という客室面積帯がその差分にあたります。
Q. 出張利用に向く立地ですか?
A. JR 日豊本線「別府」駅西口から徒歩 3 分、大分空港から車で約 60 分という条件です。県都・大分市内の商談と別府泊を組み合わせる動線は JR で取れます。ただし本件は「Retreat」をコンセプトに掲げる温泉滞在型ブランドであり、法人契約、長期滞在プラン、Wi-Fi 仕様、駐車場の有無・台数はいずれも公表されていません。出張利用の可否は開業前の詳細発表を待つ必要があります。
Q. 別府駅周辺で 150 室は大きい部類ですか?
A. 上表の 8 施設のなかでは 322 室、269 室に次ぐ第 3 位ですが、表に含めていないアマネク別府ゆらり(191 室)とアパホテル〈別府駅前〉(177 室)を加えると、別府駅圏では 5 番目の規模にあたります。100 室超の施設はカプセルホテルを除いても既存 7 件あり、150 室が加わることで 8 件目となります。当該エリアの目安価格は 1 泊 2 名で ¥10,000〜¥54,000 に分布しています。
Q. ポラリスグループは大分県で他にホテルを運営していますか?
A. していません。ポラリス・ホールディングスは九州では福岡県・熊本県・鹿児島県・宮崎県で計 11 ホテルを運営していますが、大分県は本件が初進出です。グループ全体では国内外 106 ホテル 15,573 室(2025 年 10 月末時点、運営予定客室数を含む)を展開しています。
本記事の参考情報
・東京建物 ニュースリリース(2025年11月13日) — 物件概要・事業体制・ブランド概要の一次情報
・ポラリス・ホールディングス株式会社 — 運営会社グループの企業情報
・KOKO HOTELS 公式サイト — 既存サブブランドの展開状況
・別府市 — 市の観光・都市情報
編集部から
この案件の読みどころは、温泉地に建つ 150 室のホテルという表層ではなく、その組み立て方にあります。温泉地の集客力を持つ別府で、駅前という宿泊特化型の立地に、温泉大浴場という旅館側の設備を載せる。事業主は不動産会社と住宅メーカー、運営は上場オペレーターの子会社。既存ブランドの横展開ではなく新ブランドの第 1 号店として起こす。いずれの判断も、供給側が別府駅前の空白をどう定義したかの表れです。
2027 年夏という開業時期は、答え合わせがまだ 1 年先であることも意味します。当面追うべきは価格の設定水準と、kokonoyu が 2 号店を持つかどうかの 2 点です。新ブランドの第 1 号店は、開業した瞬間よりも、2 号店が発表された時点で初めて戦略としての輪郭を持ちます。本誌は続報を追います。
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