六本木駅から徒歩約6分の位置に、全172室のサービスアパートメントが動き出した。運営はシンガポール系のフレイザーズ ホスピタリティで、同社が運営受託契約を結んだ日本国内2軒目の施設にあたる。客室は6タイプ、床面積は25㎡から72㎡。全室にキッチンと洗濯機を備え、短期出張から数か月単位の駐在まで同じ在庫で受けられる構成を取る。海外駐在の着任期が集中する4月と10月を前に、六本木・赤坂エリアの長期滞在在庫がどう組み立てられているかを、室数と契約構造の側から整理する。

室タイプ 床面積 定員 ベッド構成 主な用途
スタジオ デラックス 25㎡ 2 クイーン1台 単身の長期出張
スタジオ プレミア 33㎡ 4 クイーン1台+ソファベッド1台 単身+来客対応
1ベッドルーム デラックス 29㎡ 2 クイーン1台 寝室と仕事場の分離
1ベッドルーム プレミア 35㎡ 2 クイーン1台 夫婦での駐在
2ベッドルーム デラックス 52㎡ 4 キング1台+クイーン1台 家族帯同の着任直後
2ベッドルーム プレミア 72㎡ 4 キング1台+クイーン1台 家族帯同の中期滞在

※ 本文中の目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の契約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。


フレイザープレイス六本木東京 — 東京都港区六本木3丁目 · 全172室のサービスアパートメント、キッチンと洗濯機を備えたスタジオタイプ
PHOTO: フレイザープレイス六本木東京 — 公式サイトを見る →

施設概要 ─ 172室・6タイプ、25〜72㎡

対象施設はフレイザープレイス六本木東京。所在地は東京都港区六本木3丁目17-10で、客室数は172室、室タイプは6種類である。運営会社はフレイザーズ ホスピタリティ(シンガポールのフレイザーズ・プロパティ・グループ傘下)で、同社は運営受託契約の締結を2025年に公表し、開業時期を2026年第1四半期としていた。国内の運営物件は大阪・難波の114室規模と合わせて2軒となる。

室構成の幅が広い点が実務上の特徴になる。単身赴任の25㎡から、家族帯同を想定した72㎡まで同一館内に揃うため、着任のタイミングで単身→帯同へ条件が変わっても館内で振り替えられる。逆に言えば、単価の分布も室タイプ間で大きく開く。受入担当が社内規程で「1名あたり月額上限」を敷いている場合、室タイプ指定まで含めて見積もりを取る必要がある。

立地とアクセス ─ 2駅徒歩6分、3路線

最寄りは東京メトロ日比谷線・都営大江戸線の六本木駅と、東京メトロ南北線の六本木一丁目駅。公式サイトの案内では、いずれも施設から徒歩約6分である。六本木一丁目から溜池山王・虎ノ門方面、六本木から霞ケ関・銀座方面へ直通するため、外資系企業の東京拠点が集まる港区・千代田区のオフィスへは乗り換えなしで届く範囲に収まる。

六本木3丁目は六本木交差点の東側にあたり、飲食店が密集する外苑東通り沿いから一本入った位置関係になる。深夜帯の騒音を懸念する駐在者向けには、エリアの中でも比較的静かな側だと説明できる。一方で坂道が多く、スーツケースを引いての移動は最寄り駅からでも体力を使う。

客室 ─ 全室キッチン・洗濯機

全室にキッチン(コンロ・冷蔵庫)、食器類、ダイニングテーブルとチェア、洗濯機、電子式セーフティボックス、液晶テレビ、無料Wi-Fiが備わる。3か月以上の滞在で差が出るのは、洗濯機が客室内にあるか共用ランドリーかという点である。客室内設置であれば、駐在者が自室で生活リズムを組めるため、滞在後半の満足度が落ちにくい。

スタジオ プレミアは33㎡でソファベッドを含め最大4名、2ベッドルーム デラックスは52㎡で寝室が2室に分かれる。家族の一時帯同や、着任直後に本社から応援が入るケースを1室で吸収できる構成になっている。

館内設備 ─ ジム、ラウンジ、コワーキング、朝食


フレイザープレイス六本木東京 — 館内のレジデンスラウンジ · 長期滞在者の作業と交流に使う共用空間
PHOTO: フレイザープレイス六本木東京 — 公式サイト 施設ページ →

館内にはフィットネスジム、レジデンスラウンジ、コワーキングスペース、専用ミーティングルーム、レストランが置かれる。朝食は毎日7:00〜9:30の提供。24時間対応のフロント、荷物預かり、ドライクリーニングとランドリーサービス(有料)、館内の防犯カメラも公式サイトに明記されている。

長期滞在施設で運用差が出るのは、ミーティングルームとコワーキングスペースの扱いである。着任直後の駐在員は社内アカウントやビザ関連の手続きで、自室以外の作業場所と来客対応スペースを必要とする。館内に専用ミーティングルームがあれば、オフィス側の会議室を押さえずに済む。予約方法と有料・無料の区分は、契約前に確認しておきたい項目になる。


フレイザープレイス六本木東京 — 館内フィットネスジム · 数か月単位の滞在者向け運動設備
PHOTO: フレイザープレイス六本木東京 — 公式サイト ジムページ →

3か月以上の滞在 ─ 公開料金ではなく見積もり型

この施設の長期滞在は、公開料金表ではなく専用窓口(Extended Stay Enquiry)経由の見積もりで決まる。申告項目は、滞在期間、会社名、滞在理由、室タイプ、人数、通貨、希望料金帯、内見希望の有無である。つまり「何か月・どの室タイプ・何名」を先に固めた側が、条件の詰めで有利になる構造になっている。

予約エンジン側には、プロモーションコードとは別に企業コードとグループコードの入力欄が設けられている。法人枠のレートを持つ企業は、短期の単発予約でも同じ窓口から在庫を引ける設計である。受入担当としては、3か月契約を一本で結ぶのか、法人コードで月次に更新していくのかで、キャンセル時の負担が変わる。

注意したいのは、1泊単価を単純に30倍した金額と、月額の提示額が一致しないことである。長期滞在の見積もりは、清掃頻度、リネン交換、光熱費の扱い、解約条項まで含めた一式で提示される。公開されている1泊料金は、あくまで短期在庫の水準を測る目安にとどまる。

港区の価格帯 ─ 1泊2名で¥11,000〜¥89,000の二層構造

港区でサービスアパートメント型の運営を行う施設の公開販売価格を集計すると、価格帯は規模ではなく運営形態で分かれる。今後90日・2名1室の集計では、東麻布の171室規模が1泊¥57,000〜¥89,000(中央値¥68,000)、西麻布の47室規模が¥45,000〜¥68,000(同¥56,000)、白金の84室規模が¥11,000〜¥18,000(同¥13,000)だった。

上の二つはホテル運営を併設し1泊単位で販売する形態、下の一つは長期滞在を主軸に据えた形態である。室数が多い施設が安いわけではない。六本木・赤坂に限れば、東京ミッドタウン内の107戸規模の施設など既存の長期滞在在庫が複数あり、今回の172室はその上に積まれる供給になる。単価の比較は、同じ「サービスアパートメント」の看板でも販売単位が違う点を踏まえて行う必要がある。


フレイザープレイス六本木東京 — 館内レストラン · 朝食は毎日7:00〜9:30に提供
PHOTO: フレイザープレイス六本木東京 — 公式サイト レストランページ →

受入担当が見積もり前に固める5項目

  • 室タイプの指定: 25㎡と72㎡では単価が大きく開く。単身・夫婦・家族帯同で先に分ける。
  • 契約期間の単位: 3か月一括か、法人コードで月次更新か。解約条項の差を確認する。
  • 清掃とリネンの頻度: 長期滞在では週次・隔週で提示条件が変わる。月額に含まれるかを明記させる。
  • 郵便・宅配の受取: 24時間フロントと荷物預かりの有無は公表されているが、駐在者本人名義の郵便物の扱いは個別確認になる。
  • 会議・来客対応: 専用ミーティングルームとコワーキングスペースの予約方法、有料区分。

向く用途 / 向かない用途

  • 向く:
    港区・千代田区のオフィスに通う3か月以上の駐在、着任直後に住居を探す期間の仮拠点、家族帯同前後で室タイプを変える必要がある赴任、自室で自炊と洗濯を完結させたい長期出張
  • 向かない:
    1泊単価の上限が厳しい短期出張(港区の同型施設は1泊2名で¥45,000を超える水準が中心)、公開料金だけで社内決裁を通したい案件(長期は見積もり型)、車移動が前提の旅程(坂が多く、駐車条件は個別確認)

具体情報

  • 所在地: 東京都港区六本木3丁目17-10
  • 最寄り駅: 六本木駅(日比谷線・大江戸線)徒歩約6分 / 六本木一丁目駅(南北線)徒歩約6分
  • 客室数: 172室・6タイプ
  • 客室サイズ: 25〜72㎡
  • 客室内設備: キッチン(コンロ・冷蔵庫)、食器類、洗濯機、無料Wi-Fi、セーフティボックス
  • 館内設備: フィットネスジム、レジデンスラウンジ、コワーキングスペース、ミーティングルーム、レストラン
  • 朝食: 毎日7:00〜9:30
  • 運営: フレイザーズ ホスピタリティ(運営受託/国内2軒目、開業時期は2026年第1四半期として公表)
  • 連絡先: 03-5797-8112

Media Picks Score

74 / 100 ─ 内訳は、立地(2駅徒歩約6分・3路線)、設備(全室キッチンと洗濯機、館内にジム・ラウンジ・コワーキング・ミーティングルーム)、運営(国際的なサービスアパートメント運営会社の受託物件)で加点。一方、公開レビューデータの蓄積が開業初期のため薄く、集計値による裏づけが取れる段階にない。この項目はデータが積み上がる段階で再評価する。

よくある質問

Q. 法人契約はできますか?

A. 長期滞在は専用の問い合わせ窓口で会社名と滞在期間を申告する形式で、法人利用が前提に組まれています。予約エンジンにはプロモーションコードとは別に企業コードとグループコードの欄があり、法人レートを持つ企業は短期の単発予約でも同じ窓口から在庫を確保できます。

Q. 3か月・6か月・12か月で月額単価は下がりますか?

A. 月額は公開されておらず、滞在期間・室タイプ・人数・希望料金帯を申告した上での個別見積もりになります。したがって公表資料から逓減率を示すことはできません。1泊単価を30倍した金額は、清掃頻度や光熱費の扱いを含む月額提示とは一致しない点に注意が必要です。

Q. 清掃や郵便の受取はどう扱われますか?

A. 24時間対応のフロントと荷物預かり、ドライクリーニングおよびランドリーサービス(有料)が公式サイトに明記されています。清掃頻度と駐在者本人名義の郵便物の扱いは、契約条件に含めて個別に確認する項目です。

Q. 港区の長期滞在向け施設の相場はどの程度ですか?

A. 公開販売価格の集計では、今後90日・2名1室で1泊¥11,000〜¥89,000と幅があります。ホテル運営を併設して1泊単位で販売する施設が¥45,000以上、長期滞在を主軸にした施設が¥11,000〜¥18,000という二層構造で、室数規模ではなく販売単位の違いが単価を決めています。

Q. Wi-Fiと在宅作業の環境は整っていますか?

A. 全室で無料Wi-Fiが提供され、館内にコワーキングスペースと専用ミーティングルームが置かれます。回線速度の公表値はないため、常時ビデオ会議を行う前提なら、内見時に実測して判断する方法が確実です。

本記事の参考情報

・フレイザープレイス六本木東京 公式サイト — 客室数・室タイプ・床面積・館内設備・朝食時間
・港区観光協会 — 六本木・赤坂エリアの観光と交通の情報
・Wikipedia: 六本木 — 地区の成り立ちと地理の背景

編集部から

六本木・赤坂の長期滞在在庫は、これまで既存マンションを転用した数十戸規模の施設が中心だった。そこに172室・6タイプという単館で振り替えの効く在庫が加わる意味は小さくない。受入担当の実務では、室タイプの指定と契約期間の単位を先に固めた側が見積もりを有利に進められる。4月と10月の着任期に向けては、単価表よりも先に「何か月・どの室タイプ・何名」の三点を確定させる作業が要になる。港区の長期滞在市場は販売単位で二層に分かれており、この構造が新規供給で動くかは継続して追う。